2020/04/20
部品交換が安い業者を探す前に

当センターに寄せられる相談の中には、
『部品交換をより安くできる業者はないか』というものが少なからずあります。

その場合にお尋ねするのは

①その工事を安くしたいのですか? それとも

②駐車装置に係るトータルの費用を安くしたいのですか?

駐車場運営に関する合理的な方針に基づく工事であれば、この二つ同じ意味の質問になります。

一方で、合理的な方針が無ければ、二つの質問が別の意味を持つことにもなります。

必要だと言われた工事を、提案されたタイミングで実施することが前提で工事の度に値段交渉を
頑張ることは、苦労の割に大した成果は見込めません。

典型例をご紹介致します。

【相談内容】

『部品交換をより安くできる業者を紹介して欲しい』

1.物件概要
・分譲マンション(築22年)の附置駐車場
・機 種  : 単純昇降地上1段地下2段式
・収容台数 : 18台(契約台数11台/空き台数7台)

・保守業者からの提案 : 電装部品等の交換で約800万円の部品交換
⇒ 約800万円の部品交換をより安くできる業者を探して、当センターへ相談

2.ヒアリング

『その工事を安くしたいのですか?駐車装置に係るトータルの費用を安くしたいのですか?』

⇒ ???

『既存の装置に800万円の部品交換を施して、あと何年使い続けるつもりですか?』

⇒ わかりません。

『他に交換しなければならない部品はありませんか?』

⇒ え?

3.問題点

問題点① : 耐用年数との関係 ~ あと何年使い続けるつもりですか? ~
今回の部品交換を施してもあと数年しか使えないと、という事実があっても
同じ判断(800万円分の部品交換を実施する)を下されるでしょうか、という
問題です。
駐車装置の耐用年数が25~30年に設定されています。高額な部品交換を実施
して何年も経たないうちに、耐用年数が到来(通常は『部品が廃番です』という
言葉にすり替えられます)しては何のための部品交換なのかわかりません。
部品交換を実施する場合には、それが『あと何年使うための部品交換なのか?』
をご確認頂くことが肝要です。

問題点② : 他の部品交換との関係 ~ 他に交換が必要な部品はありませんか? ~
ある部品が交換しなければならない状態にある場合、他の部品も“遅かれ早かれ”
の状態にある場合が殆どです。
今回800万円の部品交換を実施すれば一安心、と思っていたところ『今度は別
の部品が古くなっていまして、その交換に〇〇万円かかります』というようなこと
になってしまったら?
部品交換をされる前には、①で決めた年数を使い続ける為、他に交換すべき部品は
何があるのかの確認も必要です。

問題点③ : 誤った選択肢 ~ 部品交換をするのかしないのかの二者択一ではない~
『部品交換をするのかしないのか』という二者択一になれば、安全確保の観点から、
『部品交換をしない』という選択は無いと思います。
高額な部品交換の提案を受けたら、『実施するかしないか』ではなく、『他に安く
交換してくれる業者はないか』でもなく、『(先々を考えて)リニューアルとどちら
が合理的なのか』と考えて頂きたい、というのが当センターの基本方針です。(その
理由はまたの機会に、、、)
お持ちの自家用車が故障し、相談した修理工場の方から『このままだとエンジンが
火を噴くかもしれませんから交換しないとダメですね。費用は50万円です』と
言われたら?
多くの方は、エンジンを交換する方が良いのか、車自体を買い替えた方が良いのか、
という選択で悩まれると思います。特にその車がそれなりに古くなっていれば、後者
に傾くのではないでしょうか?(その車に思い入れがある場合は別ですが、、、)
駐車装置でも同じような話です。

4.当センターの提案

◎ 1,300万円で駐車装置のリニューアル
【提案装置の仕様】
・機 種   : 単純昇降地上1段地下1段式 ⇒ 高さ制限の緩和(ハイルーフ化)
・収容台数  : 12台 ⇒ 台数の適正化による維持コストの適正化(削減)
・仕上げ   : 溶融亜鉛メッキ ⇒ 鉄部塗装コストの削減

◎提案の意図
①22年を経過した装置に800万円(収容台数1台あたり約45万円)を投じても、耐用
残年数は長くない。また、その間に交換すべき部品が他にもある=800万円では済まない。
⇒ 800万円(+α)で5年(継続)を買うより、1,300万円で15年(新装)
を買う方が経済的

②稼働率約60%の装置に費用を投じることは避けたい(投じた費用の40%は無駄になる)
⇒ リニューアル時に台数を適正化することにより、その後の維持費を適正化

※駐車装置の維持費は、概ね『単価×収容台数+諸経費』です。

“より安い業者を探す前”に、駐車装置の運営方針の立案=その工事の要否、代替案の検討を
お勧めします。

事例集一覧