2021/12/07
施工事例:平面化 ~平面化と電気自動車(EV)充電設備~

東京都知事から『2030年までに都内での純ガソリン車、純ディーゼル車の新車販売を禁止する』という方針を打ち出されたのはちょうど1年ほど前でした。

その頃から、理事会や総会にお邪魔すると、電気自動車(EV)が話題に上る機会が増えました。

もっとも、『2030年までに、“都内での”準ガソリン車、純ディーゼル車の“新車販売”を禁止する』が、「2030年までにガソリン車(所有)禁止」とかなり曲解されていることが少なからずありますが、、、。

当工事センターが、お邪魔する理事会や総会等でEVが話題に上るときには、もちろんEVそのものよりも、EVの充電設備である場合がほとんどです。

実際には、現在EVを所有されている居住者がいらっしゃらないマンションでも、

 

『マンションに充電設備を急いで設置しないと、2030年に間に合わない』

『今後、充電設備が(充分に)ないマンションは、マンション自体の資産価値が下がる』

『充電設備を設置すれば、マンションの資産価値が上がる』

 

このような話題がしばしば持ち上がります(個別の真偽は別として)。

国内の某自動車メーカーのEV充電料金プランが事実上値上げされたこともあり、既にEVを所有されている方々がいらっしゃるマンションではなおさらです。

各マンション管理組合の皆さんとお話をする中で、EV充電設備のニーズは肌で感じる程ですから、充電設備の設置が簡単であれば、もっと速いペースで進んでいるのではないかと思います。

それがあまり進まない理由は何なのでしょうか?

充電設備の設置自体は、購入した充電器を駐車場の適当な位置に設置するだけですから、それほど難しい話ではありません。急速充電設備は本体がそれなりの価格ですので資金面の問題がありますが、普通充電設備であれば、かなり手ごろな価格で購入できます。

 

問題は、電源の確保です。

マンション内に余剰の電源があって、駐車場まで電源を引くことさえできれば、EV充電設備問題は簡単に解決できます。が、余剰の電源があるマンションは多くなく、また、駐車場まで電源を引く工事も簡単ではないケースがほとんどです(電源ケーブルを敷地内にむき出しで這わせるわけにもいきません)。

この課題を解決するのに費用がかかることが、EV充電設備の設置が進まない大きな理由の一つであるというのが当工事センターの見解です。

前置きが長くなりましたが、今回の平面化工事では、従前駐車装置を動かしていた電源を、電気自動車(EV)充電設備に転用した事例です。

 

・工事概要:駐車装置解体・撤去・平面化(鋼製平面)+EV充電設備設置工事

・施 主 : マンション管理組合

・所在地 : 埼玉県

・築年数 : 25年

・駐車装置: 単純昇降(地上1段地下1段)式 2連基 3基 12台

         同 (地上1段地下2段)  2連基 1基   6台

         同 (   同    )  4連基 1基 12台 計30台

・施工後平面区画 : 12台

・工事期間: 26日間

 

【施工前】

【施工後】

今回の施主である管理組合さんには、今のところEVを所有されている居住者さんはいらっしゃらなかったことから、充電器の設置が喫緊の課題であったというわけではなく、今後必要になるだろう、という程度のご認識であり、今回の平面化工事にあたり、とりあえず使わなくなる電源5回路は、当面休止させておいて、充電設備が必要になった頃に検討するという事でも運営上の問題はありませんでした。

しかしながら、駐車装置を撤去することで空く電源が5回路、しかも駐車場のところまで来ている状態ですから、電気自動車(EV)充電設備が進まない理由を自動的にクリアできることになります。

今後の充電設備のニーズが不透明である現状で、高価な急速充電器を設置する選択はありませんでしたから、あとは、①平面化工事にあたって平面化の施工業者に設置を依頼するか(同時設置)②一旦平面化工事だけで終わらせておいて、将来充電設備が必要になった時にあらためて設置工事をするか(将来設置)の二者択一でした。

マンション管理組合という組織の特性上、充電設備を設置するとなれば、その後の運用ルール(電気代の徴収方法や充電器付区画の割り当てとその使用料金の設定等々)まで決めなければならない、という固定観念から、その結論を出すには時間がかかるとして、あえて“将来設置”という選択をされる管理組合さんが少なくありません。将来、必要になった時にあらためて設置するとなれば、その時にまた、設置するかどうかの議論があり、業者を選定することになり、何よりあらためて施工業者に依頼するとなれば、同時設置よりは費用も嵩みます。『もったいないなぁ』と感じるパターンです。

今回の管理組合さんは、将来かなりの確率で必要になる(少なくともある方が良い)設備を安く設置できるのであれば、”とりあえず設置しておく”、という判断をされました。

もちろん運用ルールを検討する時間が無かったものの、将来設置するかどうかの議論からスタートするよりは、どう使うかの議論の方が簡単で、且つ将来あらためて設置工事を発注するとなれば嵩むであろう費用負担も軽くできるという合理的な判断でありました。

結果として、旧駐車装置1基につき普通充電器を1基ずつ、計5基設置されました。

設置できる充電器の数は、電源1回路につき1基ですから、旧2連基=新平面2区画に1基設置できる一方、旧4連基=新平面4区画にも1基ということになるのが残念なところでしたが、『2030年までにガソリン車(所有)禁止』にでもならない限り、とりあえず十分な数だと思います。

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