2020/08/24
施工事例:平面化(埋め戻し)

今回は、マンションの地域性を背景とした今後の駐車場需要予測から、築6年という比較的早い
タイミングで駐車装置に見切りを付け、平面化(埋め戻し)により、今後負担することになって
いたであろう駐車装置関連コストを削減された管理組合さんの案件でした。

【駐車装置概要】

施工事例 : 駐車装置解体・撤去・平面化(埋め戻し)工事

所 在  : 東京都

属 性  : 分譲マンション(築6年)附置駐車場

装 置  : 単純昇降式

台 数  : 駐車装置9台 ⇒ 平面3台
(別途平面区画あり)

1.背景
このマンションは、駅近の好立地にあるマンションであるため、駐車場需要は限定的であり
ました。マンション内の駐車場需要は、敷地内の平面区画で概ね満たされ、駐車装置の使用
台数は“数台”という状況で、駐車装置を解体・撤去・平面化しても収容台数はまだ余裕があ
る状況にありました。駐車装置を維持していくには、定期点検(メンテナンス)、部品交換、
そして将来のリニューアルまで費用の負担が必要であることから、理事会では駐車装置の解
体の検討を始められました。

2.平面化(埋め戻し)により削減できる駐車装置関連コスト
駐車装置の耐用年数を30年(残年数24年)と仮定し、各費用は国交省のガイドラインや
一般的な金額を元に算出すると、今回の工事で削減できた駐車装置関連コストは次のように
なります。

① 定期点検費用
50,000円/回 × 4回/年 × 24年 = 4,800,000円

② 部品交換費用
6,040円/台/月 × 9台 × 12か月 × 24年 = 15,655,680円

③リニューアル費用
1,000,000~1,200,000円/台 × 9台 ≒ 10,000,000円

⇒ 今後24年間に想定される駐車装置関連コスト(①+②+③)
約3,000万円
もちろん、駐車装置の使い方や個別の値段交渉等でこの金額は変わっていきますが、
今後上手く遣り繰りしても半額にできたとしても1,500万円です。

これに対して今回の平面化(埋め戻し)施工費
約400万円

⇒ コスト削減額
約2,600万円

3.成功要因
組合員の皆さん、そして管理会社さんが、合理的な判断をされたこと、これが今回の
成功要因だと考えます。

駐車装置の耐用年数は一般的に25年~30年だと言われています(多くの長期修繕計
画がそのタイミングでリニューアルする計画になっています)。その期間には、駐車装
置の稼働状況(契約台数)に関わらずリニューアル費用の1.5倍から2倍程度の維持
費がかかることになります。ほとんどの場合、平面化(埋め戻し)の施工費用は、リニ
ューアル費用や部品交換費用よりも安価ですから、急激な駐車場需要の増加は見込まれ
る場合を除いては、できるだけ早く平面化することが経済面では合理的です。

しかしながら、早いタイミングで見切りを付ける判断は、管理組合さんの心情的に、或
いは管理会社さんの立場的に、なかなかできることではありません。

実際に、ただ漠然と「まだ早い」とか、「もうしばらく様子を見て」とか、「まだ新しい
駐車装置だからもったいない」とかいう理由で、決断を先送りされる管理組合さんにしば
しば遭遇します。冷静に考えれば、先送りされる期間に支払われる維持費(定期点検費+
部品交換費)の方がもったいないような気がしますが、、、。
また、駐車場の稼働が想定を下回り駐車料収入が計画通りにいっていないにも関わらず、
リニューアルの時期だけは長期修繕計画に拘泥され、「長期修繕計画とかけ離れたプラン
は管理組合に提案できない」として、無駄に消えていく駐車装置の維持費(=管理組合
さんのお金)を見送られる管理会社さんも少なくありません。

今回の管理組合さん、管理会社さんは極めて合理的でありました。

管理会社さんは、「経済合理性がある施策であればまず理事会に諮ってみよう」という
スタンスでした。もちろん“経済合理性”だけで決まるものではありませんが、提案して
みないことには、それ以外の判断基準も見出せない、というお考えでした。

管理組合さんは、提案をそのまま受け入れられるだけではなく、他の施策(一旦メンテ
ナンスを止めることで維持費の支出を凍結して、駐車場需要の動向を見極める等)を積
極的に“逆提案”も頂きました。

直接的に経済的な判断をされることが全面的に正しいとは限りません(そもそも正しい
とか誤りだとかいう類のものではないのかもしれません)。

例えば、居住者が車を購入しやすい施策を考えて、駐車場の稼働率を改善し、コストを
上回る収入を得たり、“有料の”来客用駐車場として使用したり、サブリース業者との契
約で新たな収入を得たり、というような施策も選択肢としてはあると思います。

また、「まだ新しい/まだ使えるから」という理由で、長期修繕計画上のリニューアル
時期(=24年後)まで維持して、そのタイミングでリニューアルではなく平面化(埋め
戻し)という判断をされたとしても、1,000万円のリニューアルよりも400万円の
平面化の方が安価ですから、当初の計画よりも約600万円は削減できたということで
納得する、これはこれで一つの選択肢だと思います。

様々な可能性の中で、今回の管理組合さんは、『まだ使える』『まだ使える』『もう少し
様子を見たい』というお気持ちはありながら、平面化という“合理的な決断”をされたこと
で、将来負担していたであろうコストの削減を選択、実行されました。

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