縮小 + 拡大 + α の リニューアル工事を実施しました。
【工事概要】
施工事例 : 駐車装置リニューアル工事
所 在 : 神奈川県
属 性 : 分譲マンション(築25年)附置駐車場
旧装置 : 単純昇降式(地上1段地下2段) 9台収容 (契約台数3台)
新装置 : 単純昇降式(地上1段地下1段) 4台収容+α
【 背 景 】
近年駐車場の稼働率が低下し、9台収容の駐車場に契約は3台、どう考えても駐車装置の維持費がもったいない、ということで、管理組合様からコスト削減策のご相談を頂きました。
【 課 題 】
地上1段地下2段3連基9台収容に対して、契約台数が3台。
平面化してしまえば、収容台数3台、契約台数3台、契約率100%、駐車装置に係るコスト問題は一気に解決、、、そうは問屋が卸しませんでした。
附置義務条例!
附置義務です。条例に即せばこのマンションの附置義務は6台、管理会社の担当の方がすがる思いで役所に相談に行かれたところ、次のような回答がありました。
『実態(契約台数)に応じて、条例に定める台数を下回ることはやむを得ない。但し、条例に定める台数を下回る場合、必ず予備を設けてください。』
つまり、条例に定める6台を下回ることはやむを得ないが、契約台数3台+1台以上、即ち収容台数4台以上は確保してください、ということです。
3台と4台、たった1台の差ですが、この管理組合様にとっては大問題です。
3台で良ければ
平面化 ⇒ 以後の維持費負担大幅軽減、収容サイズ制限緩和、故障リスクからの解放、、、
4台以上必要だと、、、
簡単にあきらめるわけにもいかず、平面化しても4台確保できる術はないかと、模索しましたが、結局平面化は諦めざるを得ませんでした。
【 縮小 + 拡大 + α のリニューアル 】
そこで第2の策
それが『縮小+拡大+αリニューアル』です。
縮小+拡大+αとは??
縮 小
収容台数の縮小です
今回のリニューアルで、9台収容の装置から4台収容の装置へ縮小しました。
駐車装置に係る維持費は収容台数に概ね比例しますから、収容台数をできるだけ減らすことが、以後の維持費負担を軽減するもっとも簡単な方法です。
【施工前】
拡 大
収容可能サイズの拡大です。
旧装置が3連(3列)であったところを2列に、3段(地上1段地下2段)であったところを2連(2列)2段(地上1段地下1段)にした結果、収容可能サイズは、全幅が拡大(幅)し、全高も拡大(張)しました(残念ながら全長は伸長できません)。
【旧装置】 【新装置】
全長 : 4,850mm ⇒ 4,850mm(±0)
全幅 : 1,800mm ⇒ 2,050mm(+250)
全高 : 1,550mm ⇒ 2,100mm(+550)
重量 : 1,700kg ⇒ 2,300kg(+600)
※ 全長をあと100mm(10cm)でも伸長できれば、全幅の拡幅、全高の拡大と相まって、入庫できる車両(車種)は格段に増えます、、、が、これを実現する為にはピットの拡張工事が必要です。ピットの拡張工事は大掛かりな工事で、施工費用も相応の金額になります。また、無理矢理ピットを拡張して全長を伸長しても、前面車路=切り返しスペースが狭くなることを考えるとお勧めできるプランではなくなります。
【施工後】
+α
バイク駐車スペースの確保です。
3連(3列)の駐車装置を2連(2列)に縮小すると、1車室あたりの全幅を拡幅しても、まだ余剰スペースができます。
ここを、バイク駐車場にしました。
駐車装置を向かって右側(前面道路側)に寄せて設置したもの、このバイク駐車場のセキュリティ性を勘案してのことです。
【バイク駐車場】
【施工前断面図】
【施工後断面図】
今回の駐車場は、平面化できればそれがベストだった、と今でも思います。
この件に限らず、ベストだと思われる施策が、法令等の壁で採用できない場合が間々あります。法令等を無視して話を進めるわけにはいきませんので、セカンドベストの施策で進めるか、あてもなく法令等が改正されるのを待つか、それは管理組合様の判断ですが、ほとんどの場合セカンドベストを採るしかありません。
肝心なのは、この判断を迅速に下すことです。
セカンドベストを採るしかないことが明らかな状況で、ベストを追い求めた結果、ワーストの結果になった場面にも時々遭遇します。
今回の管理組合様は、スムーズにセカンドベストに移行された(もちろん事前の調査は十二分に実施されました)ことが、長期的には“勝因”になると思います。