2020/07/31
コラム:駐車装置のフルメンテナンス契約

『定期点検、部品交換、修繕、緊急出動、全部まとめて定額の契約にできませんか?』

『フルメンテナンス契約はできませんか?』

これらも駐車場工事センターにしばしば寄せられる相談・要望です。

☆ 収支(額)を確定したい

☆ 毎月定額の支出にして、事務負担を軽減したい

☆ 故障による突発的な支出を無くしたい

これができれば、駐車装置オーナーにとって諸々便利になることは間違いないと思います。
これが実現できるかどうかは、オーナーの考え方次第です。

 

『その為なら支出(総額)が増えても構わない』

というお考えであれば、実現の可能性は高まります。

 

一方で、

『フルメンテナンス契約にした上にコストも削減したい』

というお考えであれば、実現の可能性が著しく低下します。

 

『支出が増えても構わない』と言う場合は、“手数料を払って”事務作業をアウトソースしたり、
経済的リスクを外部に引き取ったりしてもらうことと同じですから、保守・点検(メンテナンス)
契約のオプションを買うイメージです。

メンテナンス業者にとっては、事務的な業務や経年劣化や突発的故障等に係るリスクを引き受ける
代わりに手数料を得る事ができますから、少なくとも話の筋は通りますし、興味を示すメンテナン
ス業者もあるかもしれません。

翻って、『コストを削減したい』と言うことになると、事務作業を依頼した上に値引きまで要求
する事になります。「お金をくれるなら事務作業を“やらせてあげる”」というようなお話ですから、
これを引き受けるメンテナンス業者はあまりいないと思いますし、引き受けるメンテナンス業者が
あれば、むしろ引き受ける理由が他にありますから、事前に確認されることをお勧めします。

『トータルで安くできるなら、全部任せて“あげる”(フルメンテナンス契約を締結してあげる)』
というようなお話も時々ありますが、「せっかくのお話ですが、、、」とお答えすることになります。

 

〇料金イメージ

仮に当センターがフルメンテナンス契約をお引き受けするとした場合、以下のイメージで料金を
設定することになります。

 

【フルメンテナンス契約の料金イメージ】

①定期点検費用
②“想定され得る最大限の”部品交換費用
③装置の状態から“想定され得る最大の”緊急出動費用
④諸費用(≒事務コスト)
⑤当センターの利益

⇒ フルメンテナンス月額料金 = ①〜⑤の契約期間総額 ÷  契約月数

基本的には、

“想定され得る最大の”費用 ≧ 実際に係る費用

となりますし、そうなるように料金設定をしますから、①はともかく、②と③だけで既に
コストアップがほぼ確実です。加えて、④と⑤ですから、コストアップは間違いありません。

仮に部品交換を既存のメンテナンス業者さんよりも安価にできるとしても、“最大”と“実際”
の差は、その部品交換の減額分でカバーできる金額ではない場合が殆どだと思われますので、
その場合は、単にメンテナンス契約の切り替える方が、コスト削減効果は大きいと思われます。

ちなみに、駐車装置のフルメンテナンス契約は、今までにあまり見た事がありません。

オーナーさんは『フルメンテナンス契約だ』と思っておられたものの、契約書を確認すると
実はフルメンテナンス契約でも何でもなかった、と言う事は何度かありました。

また “セミフルメンテナンス契約” という契約を見たことがあります。
“セミフルメンテナンス”という言葉が、オーナーさんが考えられたものなのか、メンテナンス
業者さんが考えられたものなのかはわかりませんが、契約書を拝見すると、修繕計画を盛り込
んだような“よくできた”契約書でした。

ちなみに、フルメンテナンスではなく、“セミ”フルメンテナンスなのか、それは、月額費用に
含まれる部品(無償交換ができる部品)と、含まれない部品(有償交換になる部品)があった
ためです。

この契約の“オチ”は、値が張る部品の多くが有償交換になっていたことです。

無償交換となる部品の値段と交換頻度と定額の“セミフルメンテナンス料金”のバランスは???

少々残念ではありました。

 

〇もう一つの落とし穴

『フルメンテナンス契約は安心』は本当?

フルメンテナンス契約は、部品交換は全て業者負担で実施することになります。

安全性を最優先して、部品交換や修繕を積極的に実施すればするほど、儲けは少なくなり
ます。もちろん、部品交換等に消極的になり過ぎれば、緊急出動が増えて(これも業者負担)
儲けを少なくしていきます。このバランスを『安全性』の基準だけで図ってくれなければ
『フルメンテナンス契約は安心』が成立しなくなります。

 

〇類似スキーム

少し毛色が違うものの、フルメンテナンスに近いスキームに、『駐車装置のリース契約』が
あります。

リース契約の場合、フルメンテナンスに係る費用の①〜④に、リース会社の利益、金利等まで
上乗せさえたリース料を支払う事になりますので、さらに月額のリース料(≒メンテナンス料金)
は、割高になります。

割高にはなりますが、リース契約により初期費用が抑えられることで、マンション等の販売
(購入)価格を抑えられ、15年間(通常)は定額費用で安心して駐車装置を使うことができ
ますので、これは契約内容の善し悪しではなく、マンション等を購入される方それぞれとの相性
の善し悪しのお話だと思います (リース契約に関するお話は別の機会に)。

〇 最後に

駐車装置のメンテナンス契約の形態はいくつかありますが、それぞれメリットとデメリットが
セットになっています。

基本的に“美味しいとこ取り”はできませんので、各オーナーや駐車装置との相性でお選び頂く
ことをお勧めします。

事例集一覧