今朝の某新聞の一面に珍しく『駐車場』に関する記事が載りました。
論旨の一つに、分譲マンションの機械式駐車場に空きがあっても、いわゆる附置義務条例に
抵触するため機械式駐車場を廃止できない(平面化できない)ということがありました。
附置義務に関するご相談は時々当センターにも寄せられます。
今回は、駐車場条例に関するよくある誤解ついて少し書かせて頂きます。
空き駐車場問題に取り組む場合、立ちはだかる壁の一つが附置義務であり、法令等で定めら
れている以上はこれを犯すことはお勧めできません。
しかしながら、検討中の建物に、本当に附置義務はあるのかどうかは、最初に確認する必要
があります。
「機械式駐車場の平面化を管理会社に相談したら、『附置義務条例があるのでできません!』
と一蹴されたのですが、全国駐車場工事センターの事例集には平面化の施工実績が載ってい
ます。どのように取り組まれたのでしょうか?」
このようなご相談を時々お受けしますが、確認した結果 “実は附置義務がなかった”、“附置
義務の対象外であった”というケースが少なくありません。
一方で、附置義務があることさえ知らず、或いは条例の確認が不十分なまま理事会等で議論を
進め、ようやくこぎつけた総会で、『附置義務は大丈夫なのですか?』という質問に凍り付く、
というようなケースもあるようです。
いわゆる附置義務条例は、通常2種類あります。
・(主に)都道府県の“駐車場条例”
・(主に)市区町村の“まちづくり条例”や“建築基準条例等”
通常はこれらの条例を確認する必要があり、行政に問い合わせる場合にもそれぞれの条例を
所管する2つの部署に問い合わせる必要があります。
附置義務に関してよくある誤解は以下の3つです。
- 附置義務条例は『台数を減らしてはならないことを規定した条例』だという誤解
⇒管理会社等の担当者に平面化の相談をした時に『附置義務があるからできない』と
即答されたという場合の多くは、担当者がこの誤解をされているパターンです。
案外このパターンは多いです。
- 都道府県の駐車場条例がすべての建物に適用されるという誤解
⇒単純に延べ床面積を350平米で割り戻して〇台の附置義務!と早合点されるパター
ンです。
建物の用途、延べ床面積や用途地域、その他の事由で対象外となる場合も少なくあり
ません。
これらの誤解があると、平面化できる空き駐車場に資金を投じ続け、平面化で解消できる
悩みをいつまでの抱えることになります。
- 附置義務条例は都道府県の駐車場条例だけだという誤解
⇒ 駐車場条例だけを確認し『適用外だ!』と安心して平面化へ突き進んだにもかかわ
らず、実はまちづくり条例に抵触していた、ということにもなりかねません。
また、附置義務問題を難しくするのは、多くの条例は、「駐車場から自動車が溢れて違法駐車
が発生しないように」という観点で制定され、『車が減って(機械式)駐車場に空きを抱える場
合』ことまで想定されてはいないことです。
多くの条例は駐車場を減らす場合のことに言及されていませんので、行政に問い合わせても、
駐車装置の廃止や平面化で台数を減らしてよいのか否かについても、その場合の手続きについて
も明確な回答を得られない場合が少なくありません。
当センターでは、平面化やリニューアルにあたって、附置義務条例の確認のお手伝いもさせて頂
いております。
単純な誤解で条例を犯したり、苦労して進めてきた議論を無駄したりしないよう、お気軽にご相談
ください。