2021/03/04
施工事例:平面化;合理的な判断の積み重ね

【工事概要】

施工事例 : 機械式駐車場平面化工事

所 在  : 東京都

属 性  : 分譲マンション(築10年)附置駐車場

撤去駐車装置  : 単純昇降式(地上1段地下2段) 15台収容

今回の管理組合さんとは約5年間お付き合いをさせて頂きましたが、駐車場、特に機械式駐車場を経済的観点から見たときに、極めて合理的で、理想的なご判断の積み重ねでした。

【 背 景 】

今回のマンションは、駅徒歩3分の好立地に建つマンションです。駅近好立地のマンションでは、駐車場に空きが増える傾向があります。理由は簡単、電車が便利ですから、毎月何万円もの維持費をかけてまでマイカーを所有される方が少ないからです。
ご多分に漏れずこの管理組合さんでも竣工から5年目の時点で、収容台数15台の内10台程の空きを抱える状態でした。この段階でご相談を頂いたのがお付き合いの始まりでした。
この5年前というのは、本件駐車装置設置から5年が経過する時期でしたが、この時期が絶妙でした。設置から5年と言えば、『誰かがマイカーを購入して、稼働率が改善するかもしれない』という希望を抱かれる時期です。この管理組合さんも同じ希望はお持ちだったと思います。
『誰かが車を買うかもしれない』という希望だけを抱いて、単に問題を先送りされる管理組合さんを残念ながら数多見てきましたが、期待だけを抱いて“ただ待つ”のではなく、この管理組合は、策を講じられました。

第一の策 : サブリース導入 と 部品交換のリスケジュール

5年前に検討されたのが、第一の策であった『サブリース導入と部品交換のリスケジュール』でした。
サブリースを導入すれば、空き区画から収入を得られるために原状よりは種子が上向きます。但し、サブリースにより管理組合さんが得られる賃料(マスターリース賃料)は、マンションにお住まいの方が支払われる使用料より安価になるのが一般的です。したがって、サブリースを導入することで補うことができるのは、当初の計画からのマイナス分の一部に留まります。
残りのマイナス分を補うために講じられたのが、部品交換のリスケジュールです。
駐車装置の設置から2年~10年、この期間は長期修繕計画の如何に関わらず現実的にはほとんど故障は起こりませんから、部品交換のリスケジュールによりかかるコストは定期点検の費用のみとなり、計画よりは安価に済む場合が殆どです。

つまり、一旦サブリースの導入で使用料収入のマイナスを最小限の抑えながら、部品交換のリスケジュールで支出を抑え、収支バランスを保ちながら次の施策を検討する、理屈は簡単でもこれを実現できる管理組合さんはあまりありません。

当然ながら、部品交換をリスケジュールすると、故障や事故の発生リスクは高まります。ともすれば、サブリース導入で一安心、ということで駐車場に関心が無くなってしまうと、次に関心が集まるのは点検業者さんから“待ったなし”の部品交換の見積書が出てきた時か、故障か事故が起こった時、という事にもなりかねません。
しかしながら今回の管理組合さんは、歴代の理事の皆さんも管理会社の担当者さんも3ヶ月に1回の点検報告書をきちんと精査されてきたようです。

それから約4年、次策の検討に移られました。

第二の策 : 10年目の平面化(駐車装置解体・撤去)

第一の策:サブリースと部品交換のリスケによる収支バランスの維持は限界が来ます。サブリースは「賃料保証」とも表現されるように余程のことが無ければ契約期間中は決まったマスターリース賃料が支払われますから、これが崩れることはあまりありません。収支バランスを崩れるのは、部品交換の方です。設置から10年を経過する頃には、定期点検の報告書にも『〇〇が経年劣化していますので交換をお勧めします』というような指摘事項が見られるようになってきます。安全は最優先事項ですから、指摘事項が上がっているものを長期間放置することはできません。
サブリースで約4年間繋いできたものの、その後も居住者さんからの駐車場利用申し込みはありませんでした。
安全性の観点から部品交換のリスケジュールに限界が来たタイミングでは大きな判断を迫られます。
選択肢は2つ

① 必要な部品交換を実施する

② 駐車装置を解体・撤去し、平面化する

この管理組合さんは、迷わず②を選択されました。この決断の速さが、“勝因”だと言っても過言ではありません。

ちなみに、失敗の典型例は、、、

中長期的な検討ではなく、目の前の部品交換(費用)と平面化(費用)の比較から、部品交換を選択されます。部品交換を実施して駐車装置を維持した場合、以降居住者さんから駐車場の利用申し込みが無ければ、収支バランスは崩れ、赤字に突入します。部品毎に耐用年数がありますから、以降断続的に部品交換をすることになります。一度部品交換を実施すると、既に部品交換に投じた費用が惜しくなり、次の施策には消極的になりがちです。
平面化を検討する過程で、「去年〇〇万円かけて部品交換をしたばかりだから、今平面化するのは勿体ない」として、空きを抱える駐車装置を維持する(平面化しない)こと決断し、一件落着とされます。この“一件落着感”が問題で、次に管理組合さんで駐車場も問題が持ち上がるのは、次の部品交換の提案が出された場合で、そこから平面化の議論をしても「間に合わない」というよりも焦燥感により、とりあえず“安全の為”という理屈で部品交換を実施する。この繰り返しで赤字が拡大し、経済的な理由で平面化が遠のきます。

よくあるご質問

『平面化は築何年くらいで検討するのがベストですか?』

『まだ築〇年ですから、平面化の検討は早いですよね?』

この類のご質問を頻繁に頂きます。

そのご質問に対しては、『(一定数の)空きが出たら、すぐにでも』とお答えしています。
築浅で新しい駐車装置でも使われなければコストがかかるだけですから、早いに越したことはありません。
但し、『まだ新しいから、、、』というのは心情的には充分理解ができます。

 

まだ『新しいから』どうされるのかで、駐車装置の運命が変わると言っても過言ではありません。

【 施工前 】

【 施工後 】

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