2021/03/17
施工事例:平面化;サイズ制限が産む三重苦からの解放 (消火設備の処置)

平面化工事により”三重苦”から解放された事例のご紹介です。

【工事概要】

施工事例 : 機械式駐車場平面化工事(鋼製平面)

所 在  : 東京都

属 性  : 分譲マンション(築18年)附置駐車場

駐車装置 : 横行昇降式(地上2段地下1段) 8台収容

       単純昇降式(地上1段地下1段)  2台収容 計10台収容

【 背 景 】

今回のマンションは、いわゆる高級住宅街に建つマンションです。マンション内の駐車場需要は旺盛で、平面区画が常に満車であるにも関わらず、機械式駐車場には空きを多く抱えられていました。

原因は、単純に『収容サイズ制限』です。

設置されている駐車装置の収容サイズ制限は、特別に小さいものではありませんでしたが、そこは高級住宅街、大型車が多いために、機械式駐車場の収容サイズ制限に適合しない車種が数多ありました。

機械式駐車場に入庫できない車は、外部の月極駐車場を契約するしかありません。ところが、マンション内の機械式駐車場に入庫できない大型車を入庫できる駐車場が簡単に見つかるはずもなく、毎朝マンションから“自転車で”5分のところまで車を取りに行かれている方もおられました。車の所有者の方にとっては、わざわざ遠くの駐車場まで車を取りにいかなければならず、不便でしかありません。

一方、管理組合さんにとっては、本来であれば管理組合の収入になるべき駐車場使用料の一部が、外部に流出することになります。

さらに、使う人がほとんどいない駐車装置の維持費を負担し続けなければなりません。

『居住者の不便』、『収入の流出』、『維持費負担』

 これぞ駐車装置、いや、収容サイズ制限が産む “三重苦”とも言えるパターンでした。

【平面化の検討】

今回は、管理組合さんとして平面化する方針を固めた上で見積り依頼を頂きましたので、当工事センターの仕事はかなり楽でした。

工法の選択にあたっては、屋内の駐車場であることを勘案し鋼製平面を提案しましたので、その説明はさせて頂きましたは、これについてもスムーズに受け入れて頂きました。管理組合の中に、建設関係のお仕事をされている方がおられ、その方からお口添えを頂けたこともラッキーでした。

 

【総会決議後】

平面化について、管理組合さんの総会で決議されて間もなく、平面化後の区画(旧駐車装置)については、申し込みが入り、満車になることが確定的になりました。

このことは、駐車装置のサイズ制限により外部の月極駐車場利用を強いられていた方がおられ、管理組合に入るべき駐車場使用料収入が外部に流出していたことを意味します。

 

ところで、今回の駐車場はマンションの屋内(地下)駐車場でしたので、ひと手間かかりました。

屋内駐車場の解体に付き物の“ひと手間”

そのひと手間とは、消火設備の処置です。

屋内の駐車装置を解体する場合、消火設備の処置が必要になる場合があります。これは平面化工事というよりも、駐車装置の解体・撤去工事に伴うもので、駐車装置のリニューアルの場合も同じです。

屋内駐車場では、必ず消火設備が設置されています。

車を駐車するということは、ガソリンタンクを並べることと同じですから、万々が一、火災が発生した場合には、、、想像するだけでも怖くなります。

したがって、法令等による義務であることも然ることながら、消火設備の設置が不可欠であることは感覚的にもご理解頂けると思います。

消火設備もいくつかの種類があり、ハロンガスや不活性ガスを用いた消火設備の場合は、駐車装置の解体工事に直接的に影響があることは稀ですが、泡消火式、粉末消火式の場合には、駐車装置の解体工事にあたって、噴射ヘッドや配管の移設、撤去等の工事が必要になります。

泡消火式や粉末消火式の消火設備の場合、噴射ヘッドが駐車装置毎、正確にはパレット毎に設置されています。そしてその噴射ヘッドや配管は、駐車装置の躯体(鉄骨)に固定されている場合が殆どです。したがって、消火設備の噴射ヘッドや配管に適切な手当てをしないまま駐車装置の解体を始めてしまえば、駐車場の中は泡(粉)だらけ、ということにもなりかねません。

費用をできるだけ安く抑えようという発想で、『消火設備は“そのまま”でいいから』というようなお話もしばしば頂きますが、“そのまま”では解体工事ができない場合が殆どです。

今回の駐車場の場合、2階、1階、地下1階と三層構造になっていました。これを平面化する場合、2階と1階の噴射ヘッドを1つにすることは全く異論が無いところでありますが、地下部分については、残すか撤去するかで消防署の見解が分かれる場合があります。

今回は、地下部分の噴射ヘッドは不要という結論が出ましたので、比較的対応は容易でしたが、地下部分を残すとなると、一旦撤去して再設置することになりますので、一手間どころか二手間かかります。

ちなみに、地下部分を残しなさい、という判断になる場合の理屈は、仮に1階部分の車から漏れ出たガソリンが地下空間に流入し、そこに引火した場合に備えて、という事のようです。

鋼製平面の場合、床材が一枚板ではありませんので、ガソリンが漏れ出るようなことがあれば、地下空間に流入することは間違いありません。但し、地下空間は駐車スペースでもなければ居住空間でもありませんので、ガソリンが流入してしまっても引火する可能性はほとんどありません。したがって、地下部分は撤去しても構わないという判断になることが多いようです。

今回の平面化工事は、単に駐車装置の維持費等のコスト削減だけでなく、駐車装置の宿命ともいうべき収容サイズ制限が緩和されたことで、外部の月極駐車場の利用を強いられていた方のご不便を解消でき、外部に流出していた駐車場使用料収入が管理組合さんに入るようになり、間接的なメリットも大きかったと思います。消火設備についても、もれなくスムーズに処置ができました。したがって、効果的でスムーズな平面化工事ではありましたが、当工事センターにご相談を頂いた時点で、平面化の方針を決定されていたため、事実上工法と業者の選定のご依頼で、当工事センターの影が薄い工事になりました(もちろんそれは良いことです)。

 

 

 

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