2021/01/21
施工事例:平面化(埋め戻し)と起こり得る失敗

駐車装置6台分を撤去し、平面駐車場2台が誕生しました。

【駐車装置概要】

施工事例 : 駐車装置解体・撤去・平面化(埋め戻し)工事

所 在  : 神奈川県横浜市

属 性  : 分譲マンション(築26年)附置駐車場

装 置  : 単純昇降式(地上1段地下2段)

台 数  : 駐車装置6台 ⇒ 平面2台

1.背景

今回の駐車場は、単純昇降式(地上1段地下2段)1列の装置が3基設置されていました(総収容台数9台)。
駐車装置が歴史を重ね部品交換等で支出が嵩んでいく一方で、近年駐車場の契約率が低下し、空きが増え、収入は低迷するという多くのマンション管理組合様が抱えられている問題に直面されていました。

 

2.今回の駐車場の特徴

同じ総収容台数9台の駐車場でも、1列の装置が3基の場合と、3列の装置が1基の場合とでは、事情が変わります。また、ピットは3つに分かれていて、1列が3基と見せかけて、装置としては一つ(同一回路)となっており、実質的には3列×1基という場合、或いは制御系の回路が3基独立しているが電力は1回路の場合、さらには装置や電源は3基独立しているものの地下排水経路が繋がっている場合もあるから話が難しくなります。
そして、それぞれ長所と短所がありますが、主だった2パターンの長所と短所は以下の通りです。

① 1列の装置が3基

【長 所】

・駐車装置のリニューアルや平面化に関して小回りが利く

3基が独立している為、1基=1列(3台)でも2基=2列(6台)でも、施工範囲を自由に決めることができます。

・装置が故障した場合に、使用停止の範囲を最小限に止められる

3基の装置が同時に故障することは、極めてまれだと思います。

【短 所】

・維持費が割高になる

制御部品は3基分、モーター、チェーン、躯体等も1列ごとですから部品の数が増えます。

・平面化、リニューアル工事費用が割高になる

・平面化、リニューアル工事の工期が長くなる

② 3列の装置が1基

【長 所】

・維持費が割安で済む

・平面化、リニューアル工事費用が割安で済む

【短 所】

・駐車装置のリニューアルや平面化に関して小回りが利かない

・装置(特に制御系)が故障した場合に、全体が使用停止になる

 

3.本件工事の特徴

本件駐車場は、①1列の3基のパターンでした。

『長所』から本工事を見ますと『1列3基だったから工事ができた』ということになります。
本件駐車場は、着工時点で空き台数が5台でしたから、3列1基のパターンであったならば、平面化工事はできないところでした。
平面化工事ができないということは、あと1台の解約が出るまでの間、駐車装置9台分の維持費を負担し続ける、ということになります。もちろん9台分の故障リスクや将来のリニューアル費用も負担することとなっていたと思われます。

一方で『短所』から本工事を見てみますと、施工費が割高で、工期が長くなったということが言えます。言い方を変えますと『工期が長くなった分だけ施工費も高くなった』ということにもなります(もちろんこのことを見越して施工費を見積もっておりますので、追加費用は発生しておりません)。

例えば、3列1基の装置であれば、幅7.5m、奥行5mの作業スペースを確保することができ、使用できる重機の選択肢も増えます。しかしながら、1列(3基)の場合、作業スペースは幅2.5m、奥行5mとなり、使用できる重機が限定され、作業員の手作業が増え、結果として工期が延び、その分施工費用が嵩みます。

7.5m×5mのピット(作業スペース)であれば、埋め戻し材(再生砕石)は、ダンプで直接投入、ユンボで均し、作業員が転圧。ユンボが粗方均してくれるだけで作業はグッと楽に。

2.5m×5mのピットの場合、埋め戻し材はユンボで投入し、作業員が均した上で転圧

   砕石を均す作業がとにかくキツイ!

 

4.起こり得る失敗

駐車場内の駐車装置を全て撤去し、すべてのピットを埋め戻す場合は、あまり起こり得ませんが、一部の駐車装置を撤去し、ピットを埋め戻す場合に起こり得る心配があります。

・3列1基を1列3基と誤認して一部を平面化する場合

「3列1基」と「1列3基」、言葉にすると紛らわしいものの、現場に行けば一目で判りそうなものです。しかしながら、これが駐車装置やピットの配置によっては判りづらい場合があるのです。

これを誤認して施工しようとすると、解体作業に入った途端、平面化対象以外の駐車装置までストップさせてしまうことになります。現実的には、解体作業に入る前、電源ブレーカーを落とすタイミングで気付くことになると思いますが、そのタイミングで気付いてももう遅い!

・排水経路(ポンプ)が共有されている場合

多くの場合、ピットが3つあれば、ピットごとに排水ポンプも設置されています。しかしながら、3つのピットに入った雨水等を1箇所に集めて一つのポンプで排出する構造の場合も少なくありません。これが厄介です。
そのような駐車場で一部平面化(埋め戻し)する場合は、“川上のピット”を埋めるのが鉄則です。
施工対象以外のピットの確認を怠り、ピットごとに排水ポンプが設置されているものと思い込み、“川下のピット”を埋めてしまうと、、、。
ピット内に流入した雨水等は排出されず、川上のピットに格納された駐車装置及び車両は水に浸かることになります。

     ちなみに、この場合の責任は誰にあるのでしょうか?

発注者? 施工業者?? 管理会社???

 

今回の埋め戻し工事は、ご相談を頂いた当初(もう1年以上前のことになります)、ここで述べたようなことをもれなく確認することが不可欠で、現地調査に神経を使ったことを思い出しました。

結果として、事故・トラブルなく完工できて一安心です。

 

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