2021/09/03
コラム:駐車装置リニューアル検討のポイント

技術の進歩により、駐車装置に限らず機械ものは年々“良いもの”が出てきます、というのが一般的な考え方であります。したがって、駐車装置もリニューアルすれば、より良いものに変わると考えるのが人情です。

しかしながら“良いもの”なのかどうかは、その基準や目的によって変わります。

より経済的で、より安全で、より便利で、より汎用性がある装置であれば、多分ほとんどの方が“良い駐車装置だ”という評価を頂けると思いますが、これらが両立しない場合が少なくありません。

駐車装置については、『安全性』という基準に照らせば良いものである一方で、『利便性』という基準では良いものとは言えない、という場合があります。『経済的』である一方で、『汎用性を毀損する』という場合もあります。

100%の満足を追求するあまり何も進められずより悪い結果になることを避ける為に何かを諦めなければならない場合があります。

 

リニューアルを検討される場合の主な目的(基準)は以下の通りです。

①経済性の追求 ・・・ 駐車装置に係るコストの適正化(削減)したい

駐車装置は、定期的に部品交換を実施しなければなりません。部品毎の耐用年数に基づいて修繕計画が策定されていますが、現実的には計画通りに部品交換を実施されている駐車装置はほとんどありません。計画はあくまでも計画ですから計画上の交換時期を迎えてもその部品が“まだ使える状態であれば”使い続けても何も問題はありませんし、交換工事は、できる限り多くの部品を一度に実施する方が費用は抑えられ、工事に係るストレスも軽減されます。

ところが、多くの部品を一度に実施する費用が、リニューアル費用と拮抗する場合があります。中には、メンテナンス業者さんから出された部品交換の見積金額が、リニューアルに係る費用を上回る場合もあります。

既存の装置について、断続的に部品交換を施すより、新しい装置を買う方が経済的な場合が少なからずあります。

※要注意 : リニューアルと既存装置の部品交換との経済合理性の比較をされる場合は、今提示されている部品交換の見積金額だけではなく、今後予定されている部品交換の見積りも合算して検討されることが肝要です。

 

②安全性の改善・拡充 ・・・ 事故なく安全に稼働させたい、故障・事故をなくしたい

近年駐車装置における人身事故の発生が報告されています。それを踏まえて、駐車装置の認定基準でも、安全性の拡充を求めています。最もわかりやすい変更点は、駐車装置乗り込み口のゲートです。

旧認定基準では必須ではなかった乗り込み口のゲートが、新認定基準では必須となりました。つまり、乗り込み口にゲートが無い駐車装置は旧認定基準の駐車装置だということになります(旧認定基準の装置であっても乗り込み口ゲートが付帯している装置も少なからずあります)。他にも、無人確認ボタン、認証番号、各センサー類等々、安全性を拡充する為の仕組みが取り入れられています。

※要注意 : 安全性を拡充する為の取り組みが、利便性を毀損する場合があります。

例 : 乗り込み口ゲート ⇒ 1階車室の方も都度装置の操作が必要に

  無人確認ボタン、認証番号 ⇒ 操作手順の増加・複雑化

 

 ③利便性の改善 ・・・ 入出庫をよりスムーズに速く行いたい

最新の駐車装置では、車室(パレット)の呼び出しをリモコンで行えるもの、操作用キーの代わりに(交通系)ICカードで代用できるもの等便利なものが売り出されています。また、装置の移動が速くなり、操作時の待ち時間が短くなる場合があります。

※要注意 : 便利な装置やシステムが導入された結果、値段が上がることがあります。また、装置やシステムが増えた分だけ維持費が高くなり、故障リスクは高まります。

 

④汎用性の拡大 ・・・ 入庫可能な車種を拡大したい

リニューアルにより、全幅制限や高さ制限を緩和できる場合があります。収容サイズ制限を緩和できれば、入庫できる車種が増え、マンション内の駐車場に空きがあるのはわかっているものの、サイズ制限に抵触する為にしかたなく外部の月極駐車場を利用されている方を呼び戻すことができるかもしれません。

また、空きがある駐車装置のリニューアルでは、列数や段数(階数)を減らすことで全幅制限や高さ制限をより緩和できる場合があります。

※要注意 : リニューアルにより収容サイズ制限が緩和されるとは限りません。駐車装置が設置されているピット(コンクリートの箱)は、改修しない場合が殆どですので、ピットの形状と新設予定駐車装置の関係で、収容サイズ制限が厳格化する場合があります。新設予定の土装置が、せり上がり式ゲート式装置の場合は特に注意が必要です。

 

駐車装置のリニューアル、これは大きな買い物です。

高額な費用を投じた挙句、想定外の不満が残るというようなことが無いよう、予めリニューアルする目的を明確にし、目的に優先順位をつけて取り組まれることが肝要です。

特に、マンション管理組合の場合には、理事会から組合員の皆さんに目的や優先順位を明確に説明されることが重要です。

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