2019/12/10
コラム:平面化・リニューアルにシミュレーションは必要か?

駐車装置の撤去・平面化や、リニューアルを提案した時にしばしば依頼されるのが
『収支シミュレーション』です。

この依頼を頂いた時の私の決まり文句はこれら2つです。

「シミュレートするのは簡単ですけど、あまり“意味はない”ですよ」

「“意味がない”シミュレーションを持ちだすと議論が混乱しますよ」

“意味はない”と言いきってしまう主な理由は、以下2つです。

理由①:将来のリニューアルを勘案すると、間違いなく平面化、或いは
     台数削減を伴うリニューアルの方が経済的だという結論が出る

 理由②:以後の部品交換の費用(予算)次第でシミュ―レート結果が変わる

概してこの“意味がない”≒現実的ではないシミュレーションを検討基準にした結果、
議論は混乱します。

シミュレーションには、最低限以下の4項目が必要です。

➀使用料収入

②保守点検費用

③部品交換/修繕費用

④将来のリニューアル費用

①使用料収入と②保守点検費用は現状の金額が維持されると仮定するとして、
④リニューアル費用は長期修繕計画上の金額でおおよそ検討ができます。

問題は③の部品交換/修繕費用です。

従前、長期修繕計画通りに部品交換を実施して来られたのであれば、以後も
長期修繕計画通りの部品交換を実施する前提でシミュレートすれば、“意味ある”
シミュレーションが可能ですが、部品交換を長期修繕計画通りに実施されている
駐車装置を個人的には見たことはありません。

長期修繕計画上の金額の半分以下の部品交換に留められている駐車装置も少なく
ありません。

これまで半分以下に留めてきた部品交換を、
・以後は長期修繕計画通り実施する前提でシミュレートする
・これまでが長期修繕計画の半分だから今後も半分とする
・過去の分が溜まっているから過去未実施分の金額を上乗せする
この判断でシミュレーションは大きく変わりますので、議論が必要になりますが、
多分結論が出ず時間ばかりが経過します。

『シミュレートした結果、向こう〇年で△△△万□□□□円のコストが削減できます』
と言い切ってしまえば、オーナーや管理組合全体の理解が得やすい、とお考えになる
気持ちは重々理解しています。

しかしながら『得をする金額が100万円なのか200万円なのかはっきりするまで
結論を出さない』と言っているうちに、空き車室の部品交換に100万円を注ぎ込む
ことになったのでは、本末転倒です。

『将来のリニューアルを勘案すると、平面化(または台数削減を伴うリニューアル)
の方が経済的だという結論が出るというところに留めて他の論点をクリアしていく方が、
現実的且つ合理的だと思います。

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