2021/06/03
コラム:地方の機械式駐車場

全国駐車場工事センターへのお問合せ、ご相談の範囲が拡がっております。

関東、大阪府大阪市や兵庫県神戸市を中心とする近畿エリア、愛知県名古屋市を中心とする中京エリアはもちろんのこと、東は北海道(札幌市)、東北(宮城県仙台市)、西は九州(福岡県、熊本県)まで広い範囲からご相談が寄せられております。

各地域の駐車場オーナーさんや管理組合さん、或いは管理会社さんとお話をさせて頂いて感じることがいろいろとあります。

その中で代表的なものが2つあります。

① 緊急性が高い

地方、正確には駐車場の賃料/使用料の相場が安いエリアに行けば行くほど、機械式駐車場に関する問題は根深く、緊急度合いが高いと感じます。

一般的に駐車場の賃料/使用料が高い東京都心部であっても、賃料/使用料が安い地方であっても、機械式駐車場に係るコストは変わりません。むしろ、都市部から作業員が移動したり部材を運搬したりするコストが反映(上乗せ)されたり、対応できる業者さんが少なく競争原理が働かなかったりすることで、都市部よりも地方(郊外)の方がコスト高になっている場合も少なくありません。

賃料/使用料が安い=1台あたりの収入が少なく、コストが高ければ収支は当然悪化し易くなります。

 

例えば、国交省が公表している『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdfの「機械式駐車場がある場合の加算額」には、以下のように記されています。

最も安価に設定された3段(ピット2段)昇降式であっても、収容台数1台あたり毎月6,040円を修繕積立金に加算して積み立てることを求めています。

『1台あたり毎月6,040円』というと、それほど大きな金額には感じられないかもしれませんが、これに加えて、定期点検費用が毎月1,000円(3か月に1回実施で1回あたり3,000円と仮定)、そして、将来の駐車装置リニューアルの費用として毎月4,000円(リニューアル費用を1台あたり120万円、耐用年数25年と仮定)の積み立てが必要であると考えますと、駐車装置収容台数1台あたりの必要な費用は以下の通りとなります。

6,040円  +  1,000円  +  4,000円   ≒  11,000円

修繕工事費        定期点検       リニューアル費      必要費用/積立金

 

この試算に従えば、駐車場の賃料/使用料は最低11,000円とする必要がある、ということになります。

但し、11,000円でコストを賄うことができるのは、満車である前提です。

つまり、稼働率(契約率)が80%であれば13,750円、稼働率が50%であれば22,000円に賃料/使用料を設定する必要がある、ということになりますが、『そんなに高いなら、近所の月極駐車場を借りるよ!』という方が続出するところも少なくないのではないでしょうか?

機械式駐車場単体で収支バランスを取ろうとすると、以上のような話になります。

当然、ビルやマンション全体の長期修繕計画書があるわけですから、計画段階でこのようなことを勘案されていれば大した問題ではありませんが、修繕積立金や管理費の値上げの議論をされている管理組合さんが数多あることも事実です。

地方に行くほど機械式駐車場に関する課題に緊急性の高さを感じるのは、賃料(収入)が低くコストが高いことで、収支改善策が限られるため、日々悪化する収支を目の当たりにする為です。

 

仮に賃料/使用料の相場が高い地域であれば、空き車室(区画)をサブリースする等で収支悪化のスピードを抑えつつ、じっくり収支改善策を検討することもできるかもしれません(それでも長期修繕計画を基準にすれば収支は悪化し続けるわけですが)し、コスト削減策も、メンテナン契約の見直しからいくつかのコスト削減策もあります。一方、相場が安い地域では、このような手段が取りづらい現実があります。

したがって『早く手を打たなければ!!』という場合が多いようです。

◎当センターがご提案する収支改善策は、平面化やリニューアル(の前倒し)等大胆なものが多いため、先送りしたいというお気持ちは充分に理解できるものの、先送りした結果、課題はより大きなものとなり、且つ猶予期間も削られた状態で戻ってくることはご理解頂きたいところです。

 

②不安を感じることが多い

これは、主に平面化に関して感じる不安です。

平面化の提案に際して当センターでは、地盤や建物への影響(リスク)を勘案して、地盤リスクが大きい埋め戻しと小さい鋼製平面を使い分けるようにしております。

不安を感じるのは、『数年前に半分埋め戻したのですが、残りの部分の埋め戻しをお願いします』という類のお話です。そのようなお話の中には一定割合で

『よくここで埋め戻しましたね』

という物件が含まれています。

当事者の方々が「平面化=埋め戻し」というご認識であったり、「地盤リスク」に関するご認識が無かったりで、進んでしまったパターンです。

少なくとも現地を拝見した時点で何もトラブルは起こっていませんので、当工事センターの判断が保守的過ぎる可能性もありますが、その後どうなるかは誰にもわかりません。

『この駐車場で埋め戻しはリスクが高いので、鋼製平面にしませんか?』という問いかけをさせて頂いて初めて、地盤リスク等を認識され、『今さら管理組合さんに言えない』と青い顔をされる管理会社の担当者さんにお会いすることもあります。

※マンション管理会社の担当者さんとお話をする際に『平面化』ではなく『埋め戻し』という単語をお使いになる場合は、要注意、ということにしています。

まず施工業者側が様々なリスクを理解し、施主である駐車場オーナーさんやマンション管理組合さんにこのリスクをご理解頂いた上で、最終的に工法を決定する、というのが健全な形だと思いますので、当工事センターが関わらない案件であっても、是非そうあって欲しいと思います。

 

全国駐車場工事センターは、東は北海道、西は福岡、熊本(鹿児島、宮崎でも対応致します)まで、ご相談、お問い合わせをお受けしております。各地元企業様の技術は素晴らしいものがあると思いますが、まだまだ歴史が浅い機械式駐車場、その収支改善策に関する情報は限定的かもしれません。当センターのノウハウを是非ご活用ください。

 

 

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